日本人生哲学感情心理学会 学会憲章
REBTの13の目標
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当学会は、1996年4月28日に創設されました。以来、その理念として掲げてきた指針を学会憲章として明文化することにしました。
先ず、二度無い一回限りの人生が極端にぶれること無く、痛みの伴わない程よい健康なこころと身体を育成する使命を実践することです。更には、その背景にあるREBTの哲学・理論・技法を歪めることなく日本社会に根付かせる研究、及び研修や啓発活動をすることです。
その理念を要約すると「ラショナリティ」、「フィロソフィカル・ソリューション」、「セルフ・ヘルプ」の3つの基本的考えになります。
さて、日本人は長い歴史と悠久の時間を経て醸成された世界に誇れる伝統文化を有しています。日常生活の中で身につけた一つの智慧である「人間尊重」は、哲学にまで昇華させて来ました。「恕」という身の処し方は、その具現化です。
ところでここで述べる哲学は、「智慧を愛する」という意味です。これまでの歴史を顧みるに20世紀までの心理学は、こころの法則定立へと急ぐあまり哲学を排除してきました。人生を活きる上で体験する心理学の不毛性は、哲学を回避してきたことに原因の一端があります。
そうした中で唯一人アルバート・エリス博士は、心理学が目を閉ざしてきた哲学を精査して、こころを整える理論の探究に93年間の生涯を捧げました。「ラショナリティ」に至る道程は、その成果です。
こ の「ラショナリティ」は、「中庸」を指し示しています。別な表現で言えば、「中の上」に立つことです。最上位でも最下位でもないスタンスに留まることです。この様な理念が、日常生活に活かされると「ラショナル・リビング」になります。「ラショナル・リビング」の実践とは、人生を楽しむ生き方と生き抜く力を育むことです。21世紀の心理学に求められるのは、哲学を中核に据えた「エリス心理学」から学ぶことなのです。
このように、REBTは誰 もが肯定する価値を創造しつつ発展して来ました。したがって応用分野は、教育、医療、産業、福祉、地域活動に至るまで広範囲に及んでいます。その目指す目標は、こころと身体の健康です。アルバート・エリス博士は、人生を楽しむことに加えて、生き抜くことだと膨大な著書、論文を通じて述べています。
しかもこ の目標は、多くの先達である哲学者たちが伝え残した遺訓をもとにまとめられています。次に、 そうしたREBTの目標を第1条から第13条まで具体的に明示します。
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第1条 自己利益
相手の利益も大事にするのはもちろんのこと、自分の利益も大事にする。それにより、人生の危機管理に備える姿勢が生まれる。
第2条 共同体感覚
公共心や道徳心を大事にする生き方をする。自利利他の生活の実践である。
第3条 自己指向
他者と協力するのは望ましいが、自己決定がそれよりも意味があると確信する。
第4条 高い欲求不満耐性
自分で何とかできる問題と自分で変えられない問題を識別している。また、人生で総てのものが手に入るわけではなく、嫌な経験をしなくては手に入らないこともあることを知っている。
第5条 柔軟性
健康な人は、画一的に物事を考えるより、柔軟な思考をする。
第6条 不確かさの受容
私たちが住んでいる世界は、高い確率とチャンスがあることを理解している。したがって、決して絶対的な確定したものではないと思っている。
第7条 創造的仕事への献身
多くの革新的な偉業を後世に残した改革者は、自己指向的で独自性や柔軟性を持ち完全燃焼の人生を送っている。すなわち損得勘定を考えず、何かに夢中になることである。
第8条 科学的思考
科学は、公開性・反復繰り返しの原則・実証性として定義されるだけではない。多くの科学哲学者が明らかに示しているように内発的動機づけと柔らかい発想を持ち合わせている。
第9条 自己受容
自分自身を他者と比べ、ランク付けをしたり、さらにそれを証明しようとしたりするより、無条件に受容する。
第10条 危険を冒す
感情面で健康な人は、危険を冒すことを辞さない。さらに、無鉄砲でなく自分がしたいことに挑戦する冒険心を持つ。
第11条 長期的快楽主義
即物的な快楽主義は、破綻をきたす。中庸の節度ある満足を大切に中・長期的な快楽主義を求め、精進努力をする。
第12条 現実的な努力
望むものを何でも手に入れたり、イヤなことを総て避けたりするのは、非現実的である。健康な人は、全く達成できない目標や非現実的なものを一生懸命求めて時間を費やすようなことはしない。
第13条 自己惑乱に対する責任
健康な人は、自分の思考・感情・行動に対してそれ相応の責任を取る。現実世界は、乗せられ、させられ、やらされ体験で起きる結果が皆無であると自覚する。身の周りで起きている出来事は、自分が関与して起こしているものである。 当学会員は、これら13ケ条の条文に具体化された目標の意味する内容を理解して下さい。 さらに、それらの条文の意味する奥義が胆識になり、会員各自が自己・他者・社会の健康に寄与される人材に或ることを願います。